グランピング施設の取り扱いについての解説

近年のキャンプや釣り、バーベキュー、トレッキングなどのアウトドアがブームとなっています。例えば関東圏では、奥多摩や山梨県の富士五湖などの本格的なアウトドアフィールドはもとより、千葉県や神奈川県などの都市部の大きな河川の河川敷などでもキャンプやバーベキューが盛んになっています。従来はテントを設営するのみのキャンプ場が人気でしたが、徐々に施設が大型化、高級志向となり、グランピングやトレーラーハウスというホテルなどの宿泊施設に類する形態の新しい様々なアウトドア施設が増加しています。

グランピング施設とは

アウトドアのなかでキャンプは人気ですが、最近はグランピングと呼ばれる高級志向のキャンプが特に人気を博しています。

グランピング(glamping)は、glamorous+campingの造語ですが、高級感のあるキャンプを指し、通常のテントのキャンプとは異なり、快適さ、贅沢さを重視した設備やホテルライクなサービスが提供されます。

したがって、グランピングで提供されるテント(宿泊施設)は、簡易的な野営用のテントではない場合が多く、建築物として常設されるものやトレーラハウスのようなものを利用したものもあります。

ベッド、電気、暖房・冷房設備、専用バスルームなどが完備されていることが一般的です。一部の場所ではルームサービスやスパなどの施設も提供されていますが、このような形態となってくると、もはや旅館業施設と遜色はなく、法律上も旅館業法や食品を提供する場合は、食品衛生法の営業許可なども必要となる場合がほとんどです。

また、同じような形態で、トレーラーハウスやコンテナハウスがありますが、トレーラーハウスは車両であるトレーラー(コンテナは荷台(荷室)の部分)を宿泊施設として利用するもので、容易な移動できる場合は、建築物ではなく車両とみなされますが、人を宿泊させる場合などは、前述の旅館業法の許可等が必要となります。

グランピング施設に必要な営業許可

単に利用客がテントを設営するだけのキャンプ場であれば、特段の営業許可は不要ですが、管理者側が宿泊施設(旅館業など)の営業許可が必要です。宿泊施設としての営業許可は以下の通りです。

宿泊業関連の許可

  • 旅館業法:一般的なホテルなどの営業許可で、旅館業法に基づき、管轄の自治体(保健所設置自治体(都道府県や政令市、特別区など))が営業許可を出します。旅館・ホテル、簡易宿所などの許可があります。
  • 住宅宿泊事業法:民泊新法と呼ばれる年間に住宅を一定日数(180日が上限)に制限し宿泊施設として貸し出すための法律です。
  • 特区民泊:特定の経済特区で行われる賃貸契約で宿泊を行う営業形態です。

建築物に関する許可等(建築、開発関連等)

建築基準法:建物を建てる際の敷地、構造、設備や用途に関する基準を定めた法律です。建築物を建てる場合、建築基準法に基づく建築確認申請、検査が必要となります。※建築基準法の定義では建築物は「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの」とされていますので、グランピング施設やトレーラーハウスが建築物に該当する場合、建築確認などの手続きが必要となります。

一般的には、常設のコテージに類するようなテントは建築物に該当、トレーラーハウスで土地に定着したもので容易に移動できないものも建築物に該当すると考えられます。

消防法:宿泊施設などが消防法上の防火対象物とみなされる場合、消防設備が必要な場合があります(EX.自動火災報知設備、誘導灯、消火器など。これらの設置は消防設備士など専門家の関与が必要です)。

開発行為許可:広範囲の土地の区画形質の変更(宅地造成など)は、管轄の都道府県や基礎自治体に対して開発行為の許可申請が必要となります。cf.開発行為許可は、都市計画法、農地法等に基づきます。

トイレや排水設備、浄化槽など計画段階から管轄自治体と協議し、土地の測量等を行い、開発する土地の部分の計画を明らかにする必要があり、水質汚濁防止法、浄化槽法、水道法などの法令の規制も関与してきます。

地方自治体の独自の規制: グランピング施設やトレーラーハウスは地方自治体の条例や規制にも従う必要があります。これには、土地利用許可や環境衛生規制、地域計画に関する規制なども含まれますが、例えば、山梨県富士河口湖町では令和5年に条例が制定され、グランピング施設やトレーラーハウスの届出制、一定面積以上の開発行為には、町との協議や住民説明会の開催が必要説明会などの規定が設けられました。

環境関連、自然公園関連許可・届出: 自然環境を保護するために、特定の環境許可や許認可が必要な場合があります。例えば、富士箱根国立公園内の場合、自然公園法に基づき区域が制定され、こうした指定区域内での一定の行為が規制され、又は届出対象となっている場合があります。

その他の規制、許認可等

食品衛生許可: 施設が食事を提供する場合は、食品衛生法に関する許可や届出などの規制に従う必要があります。なお、バーベキュー施設などでも、食品の販売や調理などを管理者側で行う場合は、食品衛生法に基づく飲食店営業などの許可や販売の届出が必要となります。

温泉利用許可、公衆浴場法:浴場を併設する場合、温泉を使用する場合は、温泉法、公衆浴場法に従い許可申請が必要な場合があります。

以上、グランピング施設やトレーラーハウスなどを開設する場合に想定される許認可、規制について解説しましたが、詳しくは、個別の施設の規模や事業内容をもとに調査し、管轄自治体と協議し、必要な対応を行う必要があります。

また、大規模なグランピング施設は、

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※この記事の筆者

当サイト管理者 行政書士藤野慶和